今回の店舗は期間限定の出店であるため、躯体・壁面・天井の造作に制限が有り、大がかりな施工をすることができません。 よって設置が容易な什器等で装飾を施していきます。まずは図面をいただき内容を確認します。
出店スペースの床・壁・天井の仕上は、施工済の状態で引き渡しとなり、壁・装飾などの造作を行うことがないので、 至ってシンプルです。既存の躯体の壁や、床の位置などを平面図として書き起こします。
書き起こした図面をCGソフトに落とし込み、立体的にモデリング(形状形成)を施していきます。 壁の高さは事前に現場を測量しておいたので、実際の高さになるように立ち上げます。
造作の壁で仕切られたフィッティングルーム、床も全て既存の状態で、仕上がすでに決まっています。 事前に仕上の材料を確認して同じテクスチャーを貼っていきます。通路も現場と同じ材料を貼り付けます。
天井をモデリングし、一旦引いたアングルで空間のスケール感をつかみます。人の目線でパースを作ることで、 空間全体が見えてきます。デザイン上のポイントとなる部分を確認します。
クライアントの支給で平台を置く予定です。大きなサイズなので位置が重要です。まずはアタリとして同サイズの平台を作成し、 スペースに配置してみます。残った空間をどう活かしていくかを検討します。
オリジナルハンガーラックを製作するので、必要なサイズを確認しデザインをしていきます。 イメージ的にはシャープなイメージが良いとのことで、寸法通りにスチールパイプをベースに作成します。
依頼寸法通りに形状を作ってから装飾などのデザインを検討します。ロートアイアンのパーツにを加工し、 什器のアクセントにします。強度を保つための補強も兼ねていますが、小物も置く事が可能です。
機能面も考慮しハンガーを掛けることができるフックを取り付けます。デザイン的にもアクセントとなります。 こういった細かい細工を施すことだけで、大幅に使い勝手が変わり、非常に重要です。
什器のデザインを決めるために検討材料としてもう一案作成することにします。 CGはどのような形状にも変更が可能です。クライアントにも立体的に見せることでイメージが伝わり易くなります。
什器のデザインが決定したところで、ショップスペースに並べてみます。商品構成上4本の什器が必要なので、 配置検討をします。設計した幅で、スペースに納まるか確認し、アタリでカウンターも配置しておきます。
最終決定した後に什器制作にあたり、図面や仕様書を作成します。CGパースを使用しての仕様書なので、 施工業者もイメージがわきやすく非常に喜ばれます。分かりやすい事がミスを少なくする秘訣です。
その他の什器もデザインしていきます。今回は全ての什器にエージングという汚しを施し、アンティーク感を出していきます。 デザインのポイントとなるカウンターはアンティーク家具を使用することにしました。
アンティーク家具そのままでは使用勝手が悪いので、必要な加工します。カウンターとして利用するので、 奥行きを延長するために天板を追加。裏には備品が置けるよう補強も兼ねて棚を設置します。
アンティークカウンターにレジをそのまま設置すると、デザインが台無しとなるので、レジ用の台を別途設置することにします。 レジが直接見えないように、アンティークガラスで目隠しをします。
カウンター周りの什器のデザインが出来上がったので、ショップスペースに配置してみます。 ハンガーラックや平台と必要な什器を全て並べることで最終的なレイアウト調整を行います。
壁面は大幅な造作ができないので、ハンガーと同じデザインのアーチを設置することにします。アーチの設置は撤去も容易で、 既存壁を傷めません。壁面は非常に面積が大きいのでデザイン上かなり重要です。
角地と言うこともあり、2面オープンという好立地です。全てオープンスペースだと間延びするので、 導線からはずれた隅に、固定ミラー付飾りパーテーションをデザインすることにしました。
既存の壁面にブランドのサインを取り付け、前面スペースはアンティーク什器を設置しディスプレースペースにします。 ここまでくるとほぼ完成となります。後は細かい仕上げを施します。
ショップでの商品ディスプレーは非常に重要です。トルソーや小物もCGで作成し、 リアルなシュミレーションをしていきます。トルソーなどの備品の台数検討などもこの時点で行うことが可能です。
デザインが全て完了しました。後はプレゼン資料用の仕上を施していきます。まずは照明です。 今回照明を追加することができないので、現場で既存の照明の種類や個数を確認し、照明の配光をしていきます。
レンダリング確認後、照明の照度設定が足りないため真っ暗です・・・。照明の設定ひとつでCGパースの質感が大きく変わり、 とても重要な作業となります。再度調整をし直して再レンダリングです・・・。
照明の設定をし直した後のCGパースです。ここまでくるとだいぶリアルになってきます。 配光計画はほぼ既存の状態で設置しているので、実際出来上がるとこのような感じになるはずです。
そのほかのアングルでもレンダリングし、プレゼン資料とするために様々な角度からイメージパースを作成していきます。 また、最終チェックにも、いろいろな角度からの検証はとても重要です。
全てデザイン作業が終わり、承認も得ることができたので、施工に関する資料作りです。 今回は施工図など細かい図面を作成する必要がないのでCGパースをメインに仕様書を作成します。 実際にどのような店舗になったかは写真を見比べてみてください。